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2019年5月 7日 (火)

視覚障害者の概要

ここに掲載したものと同一の内容で、表をグラフ化したものを視覚障害者の概要に掲載してあります。

視覚障害ということになると、とかく孤立感に陥りやすくなりがちです。
日本国内には、「視覚障害」と言われる人はどれだけいるのでしょうか。

厚生労働省では、概ね5年ごとに、「身体障害児・者実態調査」という調査を実施してきました。

平成23年度からは、これらの調査に加えて、「知的障害児(者)基礎調査」、これまで調査対象ではなかった「精神障害者保健福祉手帳所持者」及び「障害者手帳は所持していないが、長引く病気やけが等により、日常生活にしづらさを感じている者」も対象として、平成23年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)として実施されました。

ここでは、厚生労働省が全国の障害者を対象に平成28年に実施した平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)の調査結果に基づいて、視覚障害者の概要、日常生活の状況などについて見て行きたい と思います。

視覚障害者の状況

身体障害者の障害種類別人数割合

厚生労働省の調査結果によると、全国の身体障害者の総数は428万7千人で、そのうち視覚障害者は7.3%にあたる、31万2千人でした。

視覚障害者の障害程度別人数割合

身体障害の程度は、最も重い障害等級の1級から最も軽い6級まで、6段階に分類されています。

身体障害者手帳の等級については、[PDF]身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)(厚生労働省)をご参照ください。

視覚障害者の場合、1級の人は視覚障害者全体の38.1%(11万9千人)、2級が34.6%(10万8千人)、3級が7.7%(2万4千人)、4級が6.1%(1万9千人)、5級が8.3%(2万6千人)、6級が5.1%(1万6千人)となっていました。

ロービジョン(弱視)という視覚障害

視覚障害者の中には、全く見えない、全盲と呼ばれる人たちと、全く見えないわけではないものの、メガネやコンタクトレンズで矯正してもよく見えない、ロービジョン(弱視)と呼ばれる人たちがいます。

障害等級でみると、2級〜6級の人たちは、ロービジョン(弱視)と言えますが、その割合は、視覚障碍者全体の61.9%(19万3千人)となります。

障害等級が1級の人の中にも、ロービジョン(弱視)の人が何割か含まれていると考えられますので、視覚障害者全体の約62%以上は、全く見えないわけではないものの、メガネやコンタクトレンズで矯正してもよく見えない、ロービジョン(弱視)の人たちということになります。

ロービジョン(弱視)の人たちは、メガネやコンタクトレンズで矯正してもよく見えない、という見えづらさの他にも、目の病気の種類やその進行状況によって、周辺の視野が狭い(視野狭窄)、視野の中心が見えづらい(中心暗点)、明るいとまぶしさを強く感じて見えづらくなる(羞明)、暗いと見えづらくなる(夜盲)とい った見えづらさを感じています。

さらに、ロービジョン(弱視)の人が感じる見えづらさには個人差が大きいのが特色です。

そのため、日常生活や職場などで感じる不便さも、ロービジョン(弱視)の人それぞれでかなり違ってくるようです。

ロービジョン(弱視)の人が日常生活や職場などで感じる不便さについては、「見えづらい・見えにくい人のくらし」 弱視に関する懇談会 報告書 | 社会福祉法人 日本盲人会連合のページの「見えづらい・見えにくい人のくらし」 弱視に関する懇談会 報告書 PDF版(8MB) 、及び、「見 えづらい・見えにくい人のくらし」 弱視に関する懇談会 報告書 テキスト版(89KB)に詳しく解説されています。

視覚障害者の年齢階級別人数割合

視覚障害者の年齢階級別人数割合は表1の通りでした。

表1:視覚障害者の年齢階級別人数割合
年齢階級 0〜9歳 10〜19歳 20〜29歳 30〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60〜69歳 70歳以上 不詳
人数 1000 4000 8000 8000 18000 29000 65000 175000 5000
構成比 0.3% 1.3% 2.6% 2.6% 5.8% 9.3% 20.8% 56.1% 1.6%

視覚障害者の60歳以上は、視覚障害者全体の76.9%(24万人)と、高齢者の占める割合が非常に高くなっていました。

また、年齢が増加するにしたがって、視覚障害者の人数も増加しているように思われます。

障害者全体について、身体障害者手帳をはじめて取得した年齢をみてみると、表2のようになっていました。

表2:身体障害者手帳をはじめて取得した年齢別人数割合(障害者全体)
年齢階級 0〜9歳 10〜19歳 20〜29歳 30〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60〜69歳 70〜79歳 80〜89歳 90歳以上 不詳
人数 251000 159000 166000 209000 326000 611000 852000 770000 354000 38000 550000
構成比 5.9% 3.7% 3.9% 4.9% 7.6% 14.3% 19.9% 18.0% 8.3% 0.9% 12.8%

障害者全体について、身体障害者手帳をはじめて取得した年齢をみると、50代で急激に増加していることが分かります。

実際、50歳以降で身体障碍者手帳をはじめて取得した人の割合は、障害者全体の61.2%に達していました。

このことから、少なくとも、身体障碍者の60%以上は、中・高年以降に身体障害となった「中途障害者」であることが分かります。

視覚障害者の場合についての統計資料は、特には掲載されていませんが、障害者全体の傾向から考えると、視覚障害者の中にも、中・高年以降に視覚障害となった「中途視覚障害者」が多いのではないか、と思われます。

日常生活の状況

視覚障害者の情報入手手段

65歳未満と65歳以上の視覚障害者について、その情報入手手段を各情報源別に見てみると、表3のようになっていました。

表3:視覚障害者の情報入手手段
情報源 65歳未満 65歳以上
点字 8.2% 7.4%
録音図書 11.0% 11.4%
一般図書(新聞等) 16.4% 16.0%
パソコン 21.9% 5.1%
携帯電話 38.4% 16.0%
スマホ・タブレット 24.7% 1.7%
ファックス 1.4% 1.1%
テレビ(一般放送) 76.7% 58.3%
テレビ(文字放送) 4.1% 0.0%
ラジオ 41.1% 40.6%
家族・友人・介護者 53.4% 56.6%
その他の方法 4.1% 2.9%
利用したいが利用できない 0.0% 1.1%
利用していない 1.4% 2.9%

視覚障害者の情報入手手段を各情報源別に見てみると、「テレビ(一般放送)」が最も多く、65歳未満の視覚障害者で76.7%、65歳以上の視覚障害者で58.3%となっていました。

続いて、「家族・友人・介護者」(53.4%、56.6%)、「ラジオ」(41.1%、40.6%)となっていました。

一方、「携帯電話」については、65歳未満の視覚障害者の38.4%が利用しているのに対し、65歳以上の視覚障害者では、16.0%しか利用していませんでした。

同様に、「パソコン」(21.9%、5.1%)、「スマホ・タブレット」(24.7%、1.7%)となっており、このようなデジタル機器の利用については、65歳未満の視覚障害者と65歳以上の視覚障害者とでは顕著な差がみられました。

65歳以上の視覚障害者でも、これらデジタル機器が容易に利用できるような環境作りの必要性を強く感じます。

また、「一般図書(新聞等)」(16.4%、16.0%)、「録音図書」(11.0%、11.4%)、「点字」(8.2%、7.4%)など、読書環境にかかわる情報源の利用については、65歳未満の視覚障害者と65歳以上の視覚障害者とではあまり違いは見られませんでした。

デジタル機器と視覚障害者の読書環境

ここで取り上げた平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)の調査結果は、平成28年(2016年)12月1日現在のものでした。

一方、2016年4月1日からは、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)が施行され、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等が定められ、障害別の差別を具体的に把握し、必要かつ合理的な配慮を行 う事が義務付けられました。

このような背景もあり、デジタル機器を利用した読書環境を構築するにあたり、視覚障害者の情報アクセシビリティを配慮した読書環境を構築しようとする機運が高まってきています。

そこでここでは、「一般図書(新聞等)」や「録音図書」、「点字図書」について、デジタル機器を利用した視覚障害者の読書環境の状況を簡単に見ていきたいと思います。

一般図書(新聞等)について

最近では、電子書籍の中にも、音声での読み上げに対応した書籍も販売されるようになってきています。

これらの電子書籍を専用のブックリーダー機器やパソコンのソフト・スマホのアプリと、画面読み上げソフト(アプリ)とを併用することで、書籍の内容を音声で確認することができるようになります。

また、インターネット上には、「青空文庫」という著作権が消滅した文学作品や著者が許諾した作品のテキストを公開している電子図書館もあります。

画面読み上げソフト(アプリ)とそれに対応したホームページ閲覧ソフト(アプリ)とを利用することで、「青空文庫」に所蔵されている書籍の閲覧や書籍データのダウンロードが可能になります。

新聞記事については、各新聞社のサイトに、電子化された新聞記事あるいは新聞記事へのリンクが掲載されている場合があります。

画面読み上げソフト(アプリ)に対応したホームページ閲覧ソフト(アプリ)を利用することで、新聞記事の閲覧を行うことができます。

また、パソコンのソフトやスマホのアプリには、ニュース記事の読み上げに対応したものがあります。

これらのソフトやアプリと画面読み上げソフト・アプリとを併用することで、音声でのニュース記事を確認することができます。

録音図書

現在、録音図書は、カセットに代わり、DAISY(Digital Accessible Information SYstem:アクセシブルな情報システム)方式でデジタル録音し、CD版で提供されています。

このCDを専用の再生機器にセットしたり、再生ソフトを組み込んだパソコンにセットすることで再生できます。

デイジー図書の普及を推進している「公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会」のDAISYとはによると、DAISY録音図書の特徴は、

  1. 目次から読みたい章や節、任意のページに飛ぶことができます。
  2. MP3などの最新の圧縮技術で一枚のCDに50時間以上も収録が可能です。
といった点にあるとのことです。

なお、国内では、点字図書館や一部の公共図書館、ボランティアグループなどでDAISY録音図書が製作され、郵送によってもCD版の貸し出しが行われています。

一方、インターネット上には、「サピエ図書館」というデイジー図書を所蔵している電子図書館があり、専用のソフト(アプリ)を利用したり、画面読み上げソフト(アプリ)に対応したホームページ閲覧ソフト(アプリ)を利用することで、サピエ図書館 に所蔵されているデイジー図書の閲覧やダウンロードを行うことができます。

デイジー図書には、朗読ボランティアの方が朗読し、その音声を収録した「音声デイジー図書」、原本の図書をOCR(Optical Character Recognition/Reader:光学的文字認識)で読み取ってデイジー方式で編集した「テキストデージー図書」などがあります。

詳しくは、DAISY図書について: アイネット世田谷のブログをご参照ください。

点字図書

インターネット上の「サピエ図書館」には、点訳ボランティアの方が点訳した点字図書データも所蔵されています。

点字図書データは、テキスト出力を点字で行える「点字ディスプレイ」を利用することで、サピエ図書館に所蔵されている点字図書データを点字で読むことができます。

なお、点字ディスプレイは、点字を表示するための電気機械式デバイスで、一般に平坦な表面に穿たれた穴からドットが上がってくることで点字を表示することができるようになっています。

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